Alba(夜明け)
いま、来年10月リコーダーの高橋明日香さんと日本で行うデュオコンサートを企画している。「Alba(アルバ)」と題し、「リコーダーとギターの世界を広げる」ため、既成の作品のほか作曲家の清水一徹氏にこの組み合わせのための作品を書いて頂く。プログラム案を見せた時、氏から「良い意味で、正統派と野心的なプログラムが両立されていて大変興味深い」とコメントをもらった。ああ今自分がやってみたいのはまさにそういうものです、と思った。自分の頭の中というのは曖昧で、他の人が言葉にしてくれることで初めて気がつけることがある。今回それを清水氏が的確に捉えて教えてくれた気がして、嬉しかった。今回の企画は会場との共催を申請しているため、プログラムやプロフィールとは別に企画書、公演実績などの書類が必要なのだが、お二人とも話がものすごく具体的でクリアなことに驚いた。情報が的確に提供されるのでYesかNoかの判断がしやすく、結果話が早い。さすがだな、と思った。最終的にこの仕事は目に見えない、カタチとして触れることのできないものをみんなでつくっていく。だからこそ、それ以前の作業はできるだけ具体的にしておいた方が良い。そしてその作業をスムーズに行っているときは、なんというか、お互いの言葉がクリアに響く。たぶんそういう時の「言葉」は、何かを伝える手段というだけでなく、ある意味大事なバロメーターにもなっているのだと思う。
ちなみに今回のコンサートのタイトルは明日香ちゃんが決めてくれた。「Alba」はイタリア語やスペイン語で「夜明け」を意味する。そして今回演奏するN.ダンジェロのリコーダーとギターのための作品のタイトルでもある。「タイトル何にしようか?」と聞いたら「夜明け。」と即答してくれた。考えてもみなかった言葉でびっくりしたけれど、素敵だな、と思った。そしていろんな意味で今回の企画に合う気がした。私たちが打ち合わせしていたのがスイスの深夜で、日本時間の早朝だったから、という単純なことでは決してないと思うけれど笑、そうであったとしても、いいなと思った。
何はともあれ今回このお二人とタッグを組めることが、すごく嬉しい。
私たちは夜明けを待つ。それがまだ来ないなら、まずは自分でろうそくを灯そう。